2021年06月21日

番外 稲荷台1号墳 千葉県市原市 円墳 径28m

 前々項で、岡田山1号墳から銘文を有する大刀が出土していることに触れましたが、「前方後方墳シリーズ」から脱線して稲荷台1号墳を紹介します。この古墳からも「王賜」銘鉄剣が出土しており、鉄剣は市原市の文化財に指定されています。
 市原市埋蔵文化財調査センターのHP.の「遺跡ファイル」にある「古墳時代中期中葉 稲荷台1号墳 いなりだい」の項目で、「稲荷台古墳群は、市原台地を北西から刻む谷筋に面した立地の、12基からなる古墳群です。1号墳はこのうちで最大の直径28m程度の墳丘を持つ円墳です。 墳丘上には2つの埋葬施設があり、どちらも木棺に葬られていたようです。中央の木棺痕からは、鉄剣3・短甲1・鉄鏃10・刀子1、北の木棺痕からは、鉄刀1・鉄鏃10・胡ロク金具1式・きさげ状金具1・砥石1が出土しています。中央棺の鉄剣のうち1本は、復元する過程で、「王賜」を含む銘文を表裏に持つことがわかりました。」と記されています。
 古墳の墳丘自体は消失しています。ただ、跡地付近に三分の一に復元した「古墳」が、「稲荷台1号墳記念広場」として残されています。
 余談ですが、銘文を持つ刀剣類が出土した古墳としては、埼玉県行田市の稲荷山古墳(ランキング161位)、熊本県和水町の江田船山古墳(ランキング1030位)が有名です。近年、福岡県福岡市の九州大学伊都キャンパスの敷地内にある、元岡古墳群G6号墳から「庚寅」銘大刀が出土し、2019年に国の重要文化財に指定されています。
 余談の余談ですが、縮小復元「古墳」としては、「景初四年」銘の銅鏡が出土した京都府福知山市の「広峯15号墳」が印象に残っています。詳細は、2020年6月6日のブログ「番外 梶山古墳のおまけ 広峯15号墳」で書きましたので割愛しますが、運命的な出会いを体験しました。「勝手な思い込みだらー」。


 市原市教委の説明板。


 三分の一復元「古墳」。
        市原市山田橋3丁目ー1。       以上2009年6月撮影。  


Posted by じこま at 08:08Comments(0)