2024年08月20日

番外 愛知県の古墳㊹ 奥津社古墳 愛西市(旧佐織町) 方墳 辺約25m、又は前方後方墳 35m

 奥津神社は日光川の左岸、標高0mの低地にあり、当初こうした場所に古墳が築造されていると考えられていませんでした。しかし、この奥津神社が3面の三角縁神獣鏡を所蔵していたことから、社殿が建立されている小丘が古墳である可能性が指摘されました。指摘した岩野見司さんは、1977年に測量調査・発掘調査を実施し、墳丘盛土内からパレス壺・S字状口縁台付甕などが出土しています。また、3面の三角縁神獣鏡が古い型式であることから、前期前半段階の古墳と考えられています。ただし、墳形・規模については、下記のように明らかとなっていません。
 早野浩二さんは、「51 奥津社古墳」(『愛知県史 資料編3 考古3古墳』所収)の項目で、「測量調査の結果、社殿後方の斜面が比較的良好に旧状を残していて、現状では方墳状を呈することが観察されるものの、社殿建立に伴い墳頂部を中心に墳丘がかなり改変を受けていることも明らかである。よって、墳形を決定することは難しいが、仮に方墳として、現状での規模を求めると、一辺約25m、高さ約3.3mとなる」(p.198)、「墳形については、社殿南に低平な前方部が付設された前方後方墳の可能性が指摘されることもあって、基礎的な評価が十分に定まっていないことも事実である。」(p.199)と述べています。
 また、奈良女子大学の「全国古墳データベース」の「奥津社古墳」の項目で、「墳丘 形状:前方後方 墳長:35m 後円(ママ)部:径(ママ)1辺25m 高3m 特記事項【備考】前方部削平。」と記されています。
 3面の鏡は、愛知県の文化財に指定されています。
 また、約4km北西に位置する二ツ寺神明社古墳(2018年6月19日のブログで掲載)も、奥津社古墳と同様に、立地条件が低地の古墳です。


 余談ですが、1976年に開催された『愛知の古鏡展』で奥津神社の鏡を実見した記憶があるような気がします。何分にも、50年近く前のことなので、妄想かもしれませんが・・・。 


 奥津神社の扁額。
番外 愛知県の古墳㊹ 奥津社古墳 愛西市(旧佐織町) 方墳 辺約25m、又は前方後方墳 35m

 佐織町教委の説明板。
番外 愛知県の古墳㊹ 奥津社古墳 愛西市(旧佐織町) 方墳 辺約25m、又は前方後方墳 35m


 墳頂の社殿。
番外 愛知県の古墳㊹ 奥津社古墳 愛西市(旧佐織町) 方墳 辺約25m、又は前方後方墳 35m


 残存部全景。北西から。
番外 愛知県の古墳㊹ 奥津社古墳 愛西市(旧佐織町) 方墳 辺約25m、又は前方後方墳 35m

 残存部全景。南西から。
番外 愛知県の古墳㊹ 奥津社古墳 愛西市(旧佐織町) 方墳 辺約25m、又は前方後方墳 35m
        以上2013年6月撮影。



Posted by じこま at 07:07│Comments(0)
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